金の卵は数えるな

烏骨鶏を迎えてすぐに、鶏舎に小さな卵を見つけることができました。引き取った鶏たちの年齢がいくつくらいなのかわからず終いなのですが、もう産める雌もいたようで、今までも出荷していたそうです。普通に出回っている卵と比べて遥かに小さな卵に驚きましたが、烏骨鶏は身体も小さいので、適正サイズなのかもしれません。小さいくせに高級品、つい胸が高鳴ってしまった低俗な私ですよ。

その後二日程卵を見つけられないとよく探してみたら、早速抱卵している雌がいました。わずか二個の卵なのに早くも温め始めるとは、烏骨鶏は卵を抱く性質が強いというのは侮りがたい特質のようです。じっと動かない一羽の鶏が、小さな身体で必死で卵を抱いています。周りがどんなにバタバタバサバサ動き回ろうがどこ吹く風で、自分の使命と決めたことを完遂しようとしています。きっちり21日、3週間続けて抱き続ければ殻を割って雛が出てくるのです。雛なんて雛なんて、それもまたいずれ見たいし、卵と母を引き離すなんて母心の強い私としてはとびきり胸がチクチクしますが、ここは人と家禽の契約なので、日々の卵はこちらに寄越してもらいますよ。どかそうとすると突かれます。あまり痛くはないけれど、抵抗する姿がなんだかいじらしくて可愛くて、なんだか複雑な気持ちになりますね。

六個溜まったところで家族で一つずつ味見をすることにしました。高価な卵はこの先滅多にありつけないかもしれないと我が身にも子供たちにも言い聞かせ、いつもより深々と手を合わせてのシンプル卵ご飯でした。

これがなんとも濃ゆくあっさりなのです。味はしっかりこれでもかと濃ゆいのに、ちっともしつこくなく後味はむしろ爽やかなくらいの、滋養残して粘りはなく、なんとも見事な小玉の力にうちのめされることになりました。ラーメン屋の天下一品でこってりとあっさりの間をとって「こっさり」という味に出会ったことがありますが、本物のこっさりは烏骨鶏のためにあった表現でした。大食漢にはお勧めしたくないけれど、少量でしっかり栄養を摂りたい方にはまさにぴったりです。知ったばかりとはいえ自信を持って売ることができるわ、と亀成園一同顔を見合わせてニンマリしました。

その後、ウコちゃんたちはめっきり産卵しなくなりました。あらら、あっという間にがっくりです。

寒くなってきたから、環境が変わったから、原因はあるのでしょうが、本当にめっきり産まなくなったのは何故かしら。私たちよりはるかに以前からの烏骨鶏卵ファンが待っているというのに申し訳ない限りです。待てば海路の日和ありなのか、根本的な解決が必要なのか、巧妙に隠されているのか、一体どうしたものかしら。生き物は思い通りにはいきません。

いずれ直売もできるといいのですが、このままでは一個売りすら叶わない。道は果てしなく、つながると保証もありませんが、うっかり食べたくなった方、どうぞ我が家のウコちゃんたちに産卵の力を送って下さいませ。念ずれば通ず、夢は叶う、なんだか気休めのポジティブシンキングが実を結ぶ日はいつになるのでしょうね。ほんと一筋縄ではいかない農的暮らしでありますよ。

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