漁師と海賊

この土地へやってきて何が最高って、そこら中で川遊びができまくることです。いつものお散歩コースにもちょっと川へ下りれば遊び場がいくつもあるし、車でちょっと走ればまた違う川にすぐに行けます。川遊びはプールや公園の水場と違って底が平らでなくて滑りやすいし、とがった岩場もあるし、人食いワニまでいないにせよ、血を吸いにくるヒルや捕まれたら痛いくらいのカニもいるし、簡単に言うと危険がいっぱいです。でもだからこそ自分だけの発見があり、いつ行っても変化があり、五感をフルに使いアスレチックのように体を動かしての遊びができるのです。つきそいの大人ははしゃぐ者、見守る者、フィトンチッドにいそしむ者とタイプは分かれますが、危険を気にし過ぎさえしなければ大いに楽しめるところです。

今回はまず釣りがしたいとのことで、お父さんお勧めのあたらしい場所に行ってみました。新しいと言っても知ってる場所から5分くらい山道を進んですぐです。歓声をあげたくなるような清流に出会えました。まずは釣りの餌となる川虫探しです。川の中の石をペロッとめくったら、よくみる三葉虫みたいな小さな虫のほかに、にょろっと大きな真っ黒な虫も見つかりました。オオクロカワムシというそうで、渓流釣りの餌にベストらしいです。ツイテいます。

オオクロカワムシってオオクロカワヌシと響きが似ていますね。オオクロカワヌシが何かはわかりませんが、なんだか川のえらい方を探しているようで、どうぞ出ておいでませと願いながら何匹か溜まるまで石をめくりめくり探しました。次々めくっていると、魚の卵というか、孵化直前の小粒たちも見つけました。一度めくってしまうと戻す時に流されてしまって可哀想だなと思いながらも、キラキラした雨粒に目がついている卵は、なんだかとても大事なものを発見したようで、思わずキュンとなってしまいます。自分が邪魔をしていながら、みんな元気に大きくなってねと勝手な願いを込めてしまう。それでもこの小さな存在を心に刻みつけていると川を汚すことなんてできないので、慈しむ力にはつながっていくのでしょうか。

さあいざ釣りの開始です。アユなら高価な道具がいるだろうし、アマゴはしっかり静かにしていなけりゃ釣れなさそうだし、渓流釣りは狙う獲物によってなんともややこしい世界なようです。我々はいちおう静かにと注意しているものの、生来騒がしい子供たちであるし、道具は手作りの竹竿です。釣れなかったらワイワイ川遊びすればいいやと母として柔軟に考えながらも、息子が第一投。唖然とするくらいすぐ釣れました。

エサを換えるついでに私も試してみたら、あら簡単に食いつくこと。アブラハヤという小さな魚で大物感はゼロとはいえ、こんなにあっさり捕まえていいのかというくらいかかってくれます。大きいエサだと続けて二、三匹かかったり、同じ場所で次々かかって、そんなに美味しいのかな、オオクロカワムシ。静かにじっとじっと待っての釣りもロマンチックなイメージで、得意でなさそうな私には憧れの体験ですが、ホイホイとかかる釣りは確かに川とつながっている感じがして、思いのほか嬉しいものです。かかったものの針を外す時に逃げられることもしばしばで、不器用をさらけだしながらも、みんなでバケツに集めていきました。

途中カニも見つけたからバケツに入れてみたら、近くを泳ぐ魚を捕まえようとハサミを振り回していましたよ。どう猛にかかっていくカニのそばを悠々スイスイ逃げていく魚たちの攻防は、一所懸命かもしれないけどどことなくユーモラスで、小さな子に見せるに優秀の舞台ができました。生き物が食い食われる食物連鎖の事実は、子供にはわりとすんなり受け入れられるらしく、捕まって食べられてもそんなにショックは受けなかったでしょうが、ああ簡単には捕まえられないんだなぁという事実もまた見応えのあるものです。下の写真の右下がもがくだけのカニさんですよ。

一人一匹よりうんと釣って、針も弱くなってきてもうなかなか釣れなくなり、さあ満足で帰ろうね、お腹も空いたね、と気持ちよく撤退しようとしていたら甘かったです。「よし、川遊び!」と張り切っているではないですか。いや、お母さん十分川遊びしたつもり。でも子供たちには魚釣りは行事であって、その後お楽しみの自由遊びをして当然だったそうです。

海賊をテーマにして、岩を船に、石を宝物にしてわあわあ盛り上がっているのを見ると、今まではいちおう静かにしていたんだと改めてわかりました。飛びこむには深みの足りないところばかりでしたが、滑り台になっている岩もあり、きゃあきゃあと遊びは尽きません。またすぐ来れるからねとなだめてなんとか帰ることができました。もっともっと釣りができればその場で食べて遊び続けることもできるのでしょうが、それはまたの課題ですね。大物釣らなきゃ。

今回釣ったのは小さいのを少しリリースして、8匹持ち帰り、内臓を取り大目に塩を振り、たっぷりの油でカラッと焼きました。まっすぐな体がCの字に曲がって、骨ごと美味しく食べられました。川魚は臭みが強いと聞くこともありますが、連れて帰るまでほぼ生きていた新鮮な魚たちは臭みなどなく食べやすく、一人一匹じゃ物足りなかったです。あっという間に食べられて、また川への欲求を高めました。夏がずっと続いてほしいな。川遊びに来るお客様も心待ちにしておりますよ。

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