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鶴はなくとも

修学旅行シーズンのようです。京都で暮らしていた頃は年がら年中修学旅行生と思しき団体を見かけていたので気にもならなかったのですが、小学生の知り合いが初めての修学旅行となると、なんだか赤の他人のこちらまでドキドキしてしまいます。三重県からバスで一泊二日の行き先は奈良と京都です。あれ、なんか近過ぎないかと移住者の感覚では拍子抜けですが、田舎では親のどちらか又は双方が他府県出身でもなければ峠を越えずともずっと暮らしていけるわけで、小学生の旅先に奈良と京都はどうも十分有意義なようです。送り出す方としても安心感のある距離ですね。うちの小学校では6年生は4名ですが、修学旅行は隣の小学校の10数名と合同なので、いつもよりめちゃめちゃ賑やかな二日間になるのでしょうね。我が子でもないのにこっそり覗いてみたい気でいっぱいですよ。

それはそうと行く先が古都なので、千羽鶴は持って行かなくてよいみたいです。大阪で育った私にとって、修学旅行といえば広島で、二学期も半ばになると毎朝、6年生が修学旅行に持っていくための千羽鶴を折るのが恒例でした。全校500名近く居たので一人二羽程度で完結なはずですが、毎朝何羽も何羽も折っていた記憶があります。何千羽集めていたのでしょうか。自分が6年生になって千羽鶴を仕上げた記憶はなく、毎年折っていたことで何が印象に残っているかといえば、不格好な鶴で申し訳ないなという苦い思いのほうです。確か毎年千羽鶴のエピソードを聞かされていたはずで、平和への祈りを込めてという流れは理解していたはずですが、不器用な私の不細工な折り鶴が平和につながるとは素直に思えませんでした。四年生にもなれば多少はマシになりましたが、それ以前はどうにもこうにもひどいものでしたので。こんなもので病気が治ったり平和につながったりしないだろなぁと胸をチクチクさせつつも、ピシッと美しく折ることも叶わず、6年生早く行ってくれんかなぁなど不謹慎な願いを込めてしまっていました。そんな私でも6年間折り続けたのでありがたいことに今も日本人らしく鶴は折れるわけですが、千羽の不細工な鶴より一羽の美しい鶴を折りたいものです。

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鶴は持って行かないこの地の子供たちですが、林業の地らしく、木工のキーホルダーを作って携えて行き、京都で外国の方に話しかけてお土産にあげるという企画があるそうですよ。小学生のノルマも積極的になりましたね。台風の影響にめげずに一期一会のとびきりの笑顔が交換できることを密かに応援しています。

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