新しい灯

ゲストハウス亀成園を開業して初めてのお客様が泊まられました。登山慣れしている女性客で寝袋も食事もご持参だったので、ホストとしては一番手間のかからない有難い客層です。松阪市飯高町の辺りは水が豊富で木の種類も多く、山好きには魅力あるところです。それなのに公共の交通手段が少なく、関西方面からはアクセスしにくく、山小屋のように使える宿がありませんでした。山に行く前夜に身体を休める場所。早朝からの登山に便利な場所。手軽に使える場所になればいいなとの思いがあったので、早速ご利用頂いてなによりでした。体験メニューを選んでじっくり田舎の良さに開眼して頂くのももちろんホストの喜びですが、飯高町で登山や釣りをする人の一助になれたらいいなと描いていたのが一歩踏み出しました。


お客様に来て頂けたことはなにより嬉しいですが、もう一つ嬉しかったのが、夜にゲストハウスの建物に灯りがついていたことです。外の道を通ったときに新しく灯りが漏れていました。楽しそうな声と一緒に。

過疎地域ではどの集落でも毎年空き家が出ます。空き家になると当然人が住まなくなるのでその場所はひっそりとして、夜になっても灯りがつきません。週に二回ほど子供や自身の習い事で夜に出かける機会があるのですが、家から灯りが漏れているとなんとなくホッとするのです。飯高町は星好きが大絶賛するほどの暗い場所で、コンビニもないしネオンもなく、外灯も少ないうえに光が弱いので、確かに星空観察にはもってこいなのです。暗さにはメリットもあります。よく眠れますしね。それでも、人の活動時間にどこの家も真っ暗になってしまっていて人けがないことは望んでいないのです。木造住宅から弱い灯がそっと漏れている。それだけでどんなに安心感があることでしょう。


亀成園のある集落はここ何年も家が空くことはあっても埋まることはなく、人の暮らしは減っていくばかりでした。でも今回一晩だけとはいえ、集落の建物の一つに新しい灯りがともり、人の気配がありました。亀成園は集落の奥のほうなので、この道を通る人は極僅かで、時々灯りがともっていたからといってすぐに集落が活気づくということにはならないのですが、少しずつでも新しい灯りの一つにはなっていけばいいです。


以前私たち家族が大阪で暮らしながら月に何度か今の家に来る暮らし、昨今言われるところのデュアルライフをしていた頃、お隣の方に言われたことがあります。「電気がついてると来てみえるんやと安心する」と。その頃は街から田舎へ訪ねるほうだったので、そんなものかと聞いていただけなのですが、受け入れる立場になるとよくわかります。


家に人がいるだけで他の人の安心感になる。結構いいことを実感しました。



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