鶏解体受付けます

最終更新: 9月19日

亀成園はゲストハウスである前に、「自然養鶏学習農園」です。最近「学習」という言葉を新たに追記しました。生まれた時から農業を営んでいるわけではなく新たな道としての農園なので、家畜や作物を育てて売って生計を立てるという以上に学びの要素が強く、体験に訪れた方にも暑苦しく語ってしまいがちなので、思い切って「学習農園」としました。命の巡りとか環境適応とか生物多様性とか未来をどう生きるとか、これまでもいつも散々考えていたことを訪れた方にお話できるのはむしろやりがいがあることなので、学びと場として固めていくことにしましたよ。


その養鶏学習農園では、普段は鶏を飼育して卵の管理や販売をしているのですが、年に何度か生産羽数管理という覚悟の要る仕事もあります。すなわち鶏を絞めて肉にするという作業です。毎年孵化するヒヨコの中でどうしても余る雄鶏をこれまでも絞めてきました。あまり感情移入しないようにしながらも、心のエネルギーが充実している時限定で、ありがたく命に感謝して手を合わせてきました。命に責任を持つ体験は現代日本ではあまり販売されておりませんね。亀成園では食肉販売はできませんが、解体&精肉の体験は可能です。


そんな亀成園に地域の方からご依頼がきました。庭で飼育していた鶏がもう卵を産まなくなったので絞めて欲しいと。鶏との暮らしはぬくもりがあるし、ゴミが出なくなるし卵の喜びもあって本当におススメですが、廃鳥(卵を産まなくなった鶏)をどうするかというのは誰もが行きあたる壁です。殺せはしないから生かしておくというのが大体のパターンになるのでしょうが、そうするとエサ代はかかるし安全管理もし続けなければいけないし、次に卵を産んでくれる鶏を受け入れる場所を取られてしまうことになります。愛情かけて数年を過ごしてきた雌鶏を絞めるのは抵抗があって当然で、実は亀成園でも今まで絞めてきたのはオスばかりで、まだためらっていたところなのです。でも今年は境目の年です。だからこそ、依頼はありがたくあっさりと引き受けることにしました。「壁は乗り越えられる人の前に現れる」です。確かイチロー選手の言葉でした。よもや私に縁があるとは思っていませんでしたが、ピンときたのでご紹介しておきます。



羽もふわふわでお尻もぷりっとしている雌鶏は本当に可愛いです(写真はACから)。しかも名前を付けてもらって可愛がってもらってきた子たちにいきなりとどめを刺すのは本当に心苦しいのですが、いつだって誰かがとどめを刺して、肉は他の命につながっていくわけなので、鶏くらい亀成園で責任を持たねばなんだか悔しい気もします。


解体作業は実はかなりシンプルです。

前日か数日前から絶食させておいた鶏を持って来て、首を切って血を流して絶命させます。

鍋にたっぷり沸かしておいた湯にまるごとつけます。この時絶命しきっていないと暴れてお湯がはねてとても危ないので要注意です。本当にびっくりします(体験談)

足を紐で括ってぶら下げて、羽をむしります。ちょうどよくお湯でふやかされていると羽はスポスポ抜けていきます。一通り抜けたら、鶏はまるごとお肉になります。


産毛が残っているのは火であぶって仕上げます。画像は亀成園


ここまでは外での作業です。血が飛び散るし濡れた羽毛の処理もあるのでね。

丸鶏になったら台所で精肉します。

もも肉をはずし、手羽をはずし、胸肉とササミをとります。肉用でない地鶏はもともと肉が少ないのであっという間です。背骨を開け、内臓を取り出します。食べられそうな部位だけ残してあとは廃棄。最後に胸側の骨をごっそり取ります。


右下に見えているのがハツや卵の素ですね。ササミがとてもきれいで、そのままわさび醤油で食べたらどんなに美味しいかとドキドキしました。丸鶏をそのままの形で焼く場合は、腹側に切れ目を入れて内臓を出しますよ。


この調子で何羽か同じことを繰り返して、ミッション終了です。少しだけ現場にも立ち会って頂き、お別れしてもらいました。

普段食べる機会の多い鶏肉(写真はAC)と比べて、平飼いの地鶏が格別に美味しいかと言われればわりと答えにくいところだと思います。ガラで摂るスープは間違いなく優しい旨味が噴き出すような美味しさですが、肉はどうしても固くて脂が足りないので一般的には不満が残るものだと正直思います。もともと美味しさの基準は人々の育ってきた環境によって、その時の気分によっても異なるもので、何気なく出されて食べてみて絶対に美味しいとは断言できません。もっと本音を示せば、ただグルメの材料という類ではないのです。飼育していた鶏を絞めて食べる。そこには時間の流れと刻まれた物語があります。生きていた、手ずからエサをやって育ててきた鶏を、覚悟を決めて食卓に載せる。日々の食事も勿論身体を作っていくのですが、特別な経緯のある食事は命に刻まれます。よく乗り越えられたなと敬服します。


持ち込みのご用はそう多くないでしょうが、もし心当たりあればお声がけ下さい。それと、ご自身では飼っていないけれど命の責任に立ち会ってみたい方、どうぞご指名下さいね。そんな体験を子供たちにさせたいと思われる方に申しておくこととして、小さな子のほうが案外そのまま受け入れてくれます。或いは理性的な子は頑張って受け止めてくれます。逆に感受性の強い子は絶対に無理強いさせないで下さいね。亀成園でも現実的な娘たちは立ち会えますが、夢見がちな息子は拒否し続けていますので、環境だけあればいいというわけではないようです。それよりも親である自分がしっかり受け止めて、命をつなぐことを深い思いで受け止めていると、そのうち子供にも伝わって自ら扉を開いてくれるのかなと実感しています。でもまあそれもどっちでもいいかと思っています。


亀成園でもそろそろ個体選別して羽数を減らす時期です。解体は作業自体よりもっと多く心の力が必要なので、まだそう頻繁にはできませんが、ご要望あれば頑張ってみます。新鮮な鶏ガラスープにまた出会うために、まずは心の力を溜めておかなくちゃ。

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