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執筆者の写真亀成園長 まぁちゃん

香肌の山で秋の風

更新日:2020年11月25日

里山の秋は一気に進みます。朝晩めっきり冷えるようになり、秋の花が咲き誇り、至る所で柿が実っています。亀成園では稲刈りも進み、畑の作物も秋の雰囲気。秋茄子や落花生、里芋が美味しい季節です。夏場は賑わっていた釣り人もめっきり少なくなり、逆に増えたのは登山客です。暑過ぎず、寒過ぎない秋は山歩きに一番いい季節。亀成園から気軽に訪れることのできる「まつさか香肌イレブン」に選定された山の各地も賑わいをみせています。


「登山客に使い良い宿」を目標の一つにしているゲストハウス亀成園なので、初年度の今年は改めて近隣の山をできるだけ歩くことにしようと休日企画中です。家族そろっての日帰り登山で、上級者向けは体力的にも叶いませんが、身近なところでも未踏の山はまだまだあります。香肌峡の山々は商工会によって作られた観光マップにも紹介されています。近隣アウトドアがまとめられた使い勝手のよいガイドブックは香肌峡好きにはおすすめです。



長い人生焦らずに、けれど行けるうちに子供も一緒に、ということで先日登ってきたのは飯高町では下流の方にある「局ケ岳」です。地元での通称は「ダケサン」です。岳山?


なんでも山の形が十二単を着たお局様に見えたからこの名になったという、なんとも雅な歴史ある低山です。飯高にある山の中でも高見山・三嶺山と並んで登りやすく、また昨年だったか一昨年だったかに道が新しく整備されて看板も付けられてわかりやすくなっているというので、わりと気楽に登り始めました。

登山口のすぐそばにも駐車可能スペースがあるのですが、神社前の空きスペースに停めて、軽くお参りしてから出発しました。駐車スペースにあった本格的なトオテムポールが印象的でした。森林+アート+αですね。先人の息遣いが感じられて嬉しくなります。


さて、気軽に行けそうと楽しみにしていた登山ですが、どっこい急坂で登りはエラカッタ(方言で「大変だった」の意味でよく使われます)です。お局様の形ということは改めて見ると見事な三角を成す山です。どう登っても勾配は急になることに気付けなかった私はだいぶ山歩きの勘がなまっておりました。道はわかりやすかったので迷うことはなかったですが、拾った棒を杖にして、ひいこらひいこら無心になった登り道。子供たちはへっちゃらでピョンピョン高度を上げていきました。

亀成園は山に囲まれていて、木々も鳥の声も珍しくはないですが、拓けた居住地でのそれらと山の中では受け取る印象は随分異なります。よく手入れされた山の木々は美しく趣があり、足を止めるたびに周りを見渡しては幸福感に浸ることができました。この山の至る所が野生動物の生活圏です。鹿が増えてしまったおかげで植生は貧しくなってしまっているけれど(食べやすい草は食べつくしてしまって、残されるのは毒のある草ばかりなのです)、鹿のせいばかりでもないなぁと考えたり、毒だけどトリカブトはきれいだなぁと感じ入ったり。マムシグサもよく見かけます。ユニークな形は結構好きですね。


綴ら折れを抜けるとかなり登りやすくなりました。山頂までまた急こう配がありましたが、ゴールが近いと頑張れるものです。登山口から山頂まで、コースタイム1時間半のところ、何度も休憩をいれながらも2時間もかからず登れたので、子供たちの成長が感じられました。まあ私が普通に行っても同じくらいでしょう。登山は余裕をもつことがなによりです。


山頂は晴れていればとてもいい景色で、富士山が見えることもあるとか。残念ながらほぼ雨雲で、香肌峡の一部を見下ろしたくらいでした。櫛田川上流地域とは随分違って、人の多い地区ですが、茶畑や農地がくっきり見えて、のどかさ抜群でしたよ。自撮りしてばかりで景色を撮り忘れてごめんなさい。


帰りは雨に追われながらさくさくどんどん下りました。

湿った苔がとても美しかったです。


苔の種類も生態も不勉強ですが、山に登ると苔をじっと眺めるのが好きです。テラリウムに入れずにここにいて欲しいと思う気持ちと、苔を舞台にして何か創作してみたい気持ちに挟まれながら、そっと触れるだけにしてその場を離れます。ほわほわの緑を心に残して。


急坂に思わぬダメージを受けたものの、登山を終えてみると、局ヶ岳は優しい山でした。光の入り込み加減がなんとも気持ちよかったです。これだけでは登山上級者には物足りないのでしょうが、初・中級者にはぜひおすすめしたい香肌の山。山頂に平たいスペースがあるので、調理を楽しんでいた常連さんもおられました。田舎旅は是非川や山を盛り込んでみてほしい。疲れた身体をほぐしてくれる温泉もある飯高町は、安心して旅ができる風通しのいいところです。

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