毎年茶畑が生き生きとする季節は奇しくもGW前後で、気持ちも弾んで出かけたりお客さんがきたりの忙しい中、合間を縫って一人で茶摘みをしていました。その後台所で製茶で、これもまた時間のわりにほんの少しの出来上がり。なので亀成園には立派な茶畑がある割に収穫はいつも少しで、大事に大事に飲んでおりました。機械で一気に茶刈りをして、茶工場に製茶してもらえば悠に年間の茶葉も賄えそうなのに、販路もありそうなものなのに、手摘み・手もみを続けているのは、ただただ私がちまちまとした手摘み・手もみの作業が好きだからというだけです。春から夏にかけての風の気持ちよい季節に、茶畑で機械の音なしに静かに茶葉を摘んで摘んで、ゆっくり茶作りの香りを楽しむが好きだからです。摘み切れない茶葉がもったいないなと思うもの、そのうちもう少したくさん摘んで、沢山製茶しようと何年も願っておりました。飯高・飯南のきちんと作られたお茶を買うのも楽しいし、プロの味と自分の味とどちらも喜んで飲んできましたし、これからもそのつもりです。自分の茶畑は剪定と草刈り以外は機械なし、薬も肥料もなしで生き物集まる場所にしておきたいし、お茶の出来は毎年違っていい。そのうえで時々自分では作れないような上等な緑茶を買うのはいい気分です。お茶との付き合いは一生もの。いろいろな茶畑があっていいのです。
今年はゲストハウス亀成園が開業して、茶畑に居て茶葉と向き合う時間はもっとないかなと懸念していたら、まさかのCOVID-19騒動でした。私も仕事にならず、子供たちも休校で時間が空いたことで、娘たちを一緒に茶摘みをすることができました。天気がよくて時間の空いた二日間を使って、茶かごがいっぱいになるまで、ぷちぷちぷちぷちと摘んでいく平和な時間が過ごせたことは忘れません。摘み立ての茶葉は毎年天ぷらでも頂きますが、特別な香りがします。
摘んだ茶葉はすぐに蒸して乾かすと緑茶になりますが、一旦蒸して乾かすのはなかなか時間も手間もかかる作業です。軽く洗って広げて陰干しでもよいようですが、すっきり広い場所も見つからないので、ここ二年は釜炒りメインで製茶しています。しばらく置いておいて茶色くなってから炒ると、発酵したウーロン茶に近いお茶になります。もっと時間をかけて発酵させると紅茶にもなりますが、カビそうでなかなか難しい。独学によるお茶作りの試行錯誤なのでまだわからないことだらけなのですが、どんな野草茶よりも時間をかけて茶葉と過ごす時間は私のとっておきです。
今年は多めに摘めたので、たくさんの茶葉を袋詰めすることができました。
お茶処の地域なのでこの季節はホームセンターで新茶用の袋がおいてあります。シリカゲルと一緒にぎゅうぎゅうに詰めた袋が10個。一袋は100グラムくらいです。茶筒に居れた分もあるので100グラム×10袋より多くできました。それも出来具合バラバラのバラエティアソートが。
毎日このお茶ばかり愛飲していたら数か月ももたないような量です。けれど他の店の茶葉や野草茶、ハーブ水、ブルーソーラーウォーターなんかもとっかえひっかえ飲んでいたら、半年以上もつかもしれません。そして茶葉はまだ成長を続けています。新茶の季節に一度、6月頃の二番茶、8月の三番茶まで頑張れば、十分蓄えることもできそうです。
無理はしないけれど、やたらと手間暇かけてお茶っ葉をストックする習慣。あまりに利益がないので誰にも勧めることはできていないのですが、私には大事な時間で生涯の追及です。もし興味を持たれたら飲みに来てください。どこまでもさっぱりと渋みのないトロンとした飲み口の亀成園茶(非売品)。お茶摘みなら体験もできますので、風通しがよく生き物の多い茶畑で過ごす時間はご案内できますよ。今年も、来年も、きっとずっと。
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