古の霊峰高見山

最終更新: 11月25日

冬の樹氷で有名な、奈良と三重の境にある高見山へ、ゲスト家族と共に登ってきました。

秋晴れの山日和で、休日の出かけ先にお山を選んだ幸運な人たちで、思ったより多くの人出でした。とはいうもののもっと有名な行楽地に比べれば人がいないも同然くらいの風通しの良さ。三重の、香肌の山々はアクセスが悪くてどうにも誘致力が低いのですが、わざわざここにくる人にとってはとても居心地のいい山々です。紅葉にはまだ少しといった時期でしたが、澄んだ空気にそよぐススキがなんとも秋らしく、登山口から急坂を頑張って登ったご褒美には十分な気持ちの良いところでした。関西のマッターホルンと呼ばれる高見山ですが、私はここでヨーロッパを感じることはなく、ひたすら古来日本を想ったのです。



高見山はご霊山。山そのものがご神体というのは伊勢よりも奈良文化圏にいる感じがします。全国に残る霊峰はどこもまだひっそりとしながらも人を惹き続けて止みません。



山頂からは奈良側と三重側とどちらもくっきり見渡せました。青山高原の風車軍も、伊賀や名張の盆地の様子も、そして飯高の谷にぽちぽち点在する集落とそれをつなぐ道と清流も。飯高の上流地域で暮らして以来、どこを訪れても山が遠くて開けていて落ち着かない気分を味わっていたのですが、上から見下ろしてみて成程、自分が日頃いかに山々の間の小さな谷で暮らしているのかがよく見えました。


山自体も霊峰であるし、更に道を少し逸れたところに「八百万の神」の碑もありました。登山口に近い場所です。

やはりこの地の歴史はとても古いです。飯高町の伝説スポットとしては天照大神が投げられた「礫石」というのが有名なのですが、飯高町の奈良寄りの地では天照大神以前の時代の痕跡も多く残っています。ひっそりとですが。今回の山頂往復最短コースでは通りませんでしたが舟戸口という道沿いには蘇我入鹿の首塚があり、梵字の遺跡が残されています。伊勢のご加護を享ける三重県民として太陽神の存在はとてもありがたいこととして受け止めていますが、更に古くを感じさせてくれる跡もまた魅力があるものです。


さて高見山に戻ります。高見山は山頂の満足感が高いのも好きなのですが、途中の道を彩る様々な苔も映える素材として人気です。

涼しくてしっとりとした山道で静かにゆっくり育つ苔の姿に胸を打たれます。必死で登っている時にふと下を見てもいいし、満足して降りているときにふと目に入ってくるのも好ましいです。静かだけれど確かに美しい苔に焦点を当てるようになると、山歩きにも余裕が出て焦らずに気持ちよく歩く助けになるような気さえしますよ。


下山してから気付いたのですが、高見山の駐車場に本居宣長さんの歌碑がありました。

読めますかね。答え合わせです。


松阪市の誇る国学者の歌碑はわりとあちこちに見られますが、はっきりと旅の途中だとわかるこの歌碑にもまた勇気をもらうことができます。志を抱いて、全工程徒歩による使命感に満ちた旅。なんとなく旅行に行くことが可能で、たくさんの人を迎え送るのが当たり前になった今の時代に、昔の旅を思い出すことはもしかしたら大切な機会ではないでしょうか。


ゲストハウス亀成園は一日一組限定の、ゆったりとした時間を過ごしてほしいまだまだ未発達の宿です。昔話のような古民家から出発して古い道を歩いて、今をゆったり見つめてみる旅をしてみませんか。観光に後れをとる地域ならではの大事な発見があるかもしれません。

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