さて、雑食で元気な鶏さんたちは、昼間の居場所であるチキンドームに私が近付くと何やら催促してきます。何かもらえるかなとお土産を期待していることも多いですが、外に出してほしいという要求もあります。チキンドームができる前はちいさな飼育箱に入っていて、家人に余裕があるとき前庭に自由に出して、さりげなく見守るということをしていました。カラスやトンビなど来ぬようわりと気を配りつつではありますが、パッと見たところ野放しですね。好き勝手に動き回っては地面をつつき、草取りしたり虫を探したり探検するように何羽かで移動したりしていました。そばで見ているこちらも微笑ましいし、鶏たちも楽しいのかな、今も「お散歩したい」要求は強いようで、時々放してやると活き活きします。
前庭に鶏を自由に遊ばせながら、傍で本を読んだり摘み草をしたりの時間は私にも格別なひと時です。子供と同じで、そばにいると安心して好き勝手に遊び、時々小さな冒険に繰り出すこともありますが、いつの間にか戻ってきて、安心を充電する感じがあり、保護者冥利に尽きますよ。
春うららかなお昼前、のんびり過ごしていますと、後方で「プーッ」音がしました。お腹を押すと鳴るオモチャの音そっくりで、まだそんなオモチャあったかなぁ、誰が鳴らしてるのかなぁと見回しても、子供たちの誰もそんな様子はありません。そしてなんだか鶏たちがバタバタ走り回っています。
再び「プーッ」
一羽の鶏さんがくわえていたのはカエルでした。
思いがけないことってあるものです。まあこれは正しい捕食関係なのでしょうが、いやはやびっくりしましたわ。
どうせならひと思いにパクッといってくれたらいいのに、サイズを間違えたみたいでなかなか減りません。何羽かで引っ張りあってだんだんちぎれていくのです。頼むからこっそりやってくれーとの願いと怖いもの見たさの狭間で、付かず離れず見守っておりました。
みんなで走りながら時々誰かが奪ってまたダッシュ❗️ スポーツには疎いのですが、ラグビーみたいかな。ま、ボール役は哀れなカエルですが。一番小さな鶏が奪った時は子供たちと一緒に声援を送ってしまいましたよ。
そういえば中国で暮らしていた頃、レストランの食材置き場にエビやカニやナマコなんかの横に、デーンとカエルがおかれていました。何年もいたのに遂に挑戦できず仕舞いでしたね。掌をいっぱい広げたよりも大きくて茶色っぽいそれに、別に未練はありませんが、必ずレストランの帰りには減っていました。ここにいる誰かが今頃召し上がっているのかしらとビクンとしながら帰路についていたものです。
鶏たちは私のできなかったことを、あっさり、捕まえるところからやってのけ、生き物の在り方をまた見せつけてくれました。これだから野放しは止められない。日常に容易にドキドキのある今の暮らしが好きです。犬のドキドキネタもまたいずれ。
Commentaires