ついのんびりしちゃった

秋は香肌峡が輝く季節です。晴天の日も続きましたし、老若男女あちこち見て回ってほしいなぁという気持ちがあります。宮ノ谷渓谷まで行かなくてもダム湖の周りも美しいし、波瀬方面に足を延ばしてあの場所この場所、どこというとこもなく気持ちの良い場所がありますし、もちろん泰運寺もいい。川沿いの裏道もいい。川に降りて散策出来たらとてもいい。なんなら私も一緒に見て回りたいです。


だから亀成園のゲストがどこを回ってきたのか、どこを回って行かれるのかとても興味深いです。この秋人気だったのは、曽爾高原でしょうか。ススキ野原で有名な奈良の自然観光スポットは、三重からも京都からもアクセスがよく、好む人が多い名勝地です。ススキなどはくしゃみが出て苦手意識のある私はまだ足を運んだことがありませんが、すごいらしい。


お客様から「○○に行った」「今日はここを出て○○に行く」と聞くと伝染してウキウキしてしまう性分なので、立ち寄り場所の話には目がありません。香肌峡のことを改めて聞かせてもらうのも好きです。飯南高校前のハナノキが褒められるとそうだろそうだろと鼻高くなります。私が育てているわけでもないのにね。そして登山者の方々から各地の山での武勇伝なども時折聞けるので、ゲストハウスというのはつくづく楽しいお仕事だと思いますね。


ただ、亀成園のお客様は、登山目的や確固たる目的のある旅の途中でなければ、ここでのんびり寛がれることが多いのもまた嬉しい話です。亀成園が目的地なのですね。収穫した畑の野菜をあれこれ工夫して食べたらとても美味しかったとか、にわとりふれあいの時間が過ぎても鶏舎の外からずっと草をあげていたとか、ただ縁側で風を感じながら四肢リラックスしていたとか、お話ししていたらあらあら時間が過ぎちゃった、とか。

リゾート地の欧米の人たちのように日がなのんびり寛ぐ習慣を持ち合わせている日本人はまだそんなにおらず、旅に出たらつい予定を詰め込んでしまうことが常です。せっかくならあちこち回って、人気店に行って、ギリギリめいっぱい頑張って遊んで、というスタイルが身についてしまっていることもあります。そして休日が疲れるという愛嬌のある特徴。


けれどそんなスタイルも時代と共に変わっているのかもしれませんね。


マイクロツーリズムという言葉が聞こえるよりも、その概念が広まってきました。いつ休みがとれて出かける体制が整うのか先が読めない時代に合わせて、急に行く、近場で楽しむというのが一般的になってきたことを、片田舎のゲストハウスでも感じております。具体的に言うと、直前の予約が多く、県内からも多いなと感じます。何か月も前から計画してワクワクしてたっぷり下調べをして、現地では寸暇を惜しんであちこち回るという旅とはまるで違った、急に決めてまあできることを楽しもうというスタイル。だから予定は立てても必ずこなさなくてもいい。ガチガチの予約をしないから時間の制約を外して自由に過ごせる。せっかくの休みを気持ちよく休むことができる。旅の先々での出会いや発見をじっくり楽しむことができる。なんだかとても成熟してきたなと誰やねん目線で嬉しくなりました。


ゲストが気持ちよく過ごせてまた帰ってきたくなることを、亀成園は描いています。香肌峡は夏だけではありません。ここを抑えればOKといった名所でもありません。何度も同じ観光地を訪れるのは欲張りな私にはなかなかできることではありませんが、また訪れたくなる場所の共通点は、「豊かに寛げたこと」であることは感覚として持っています。


のんびりしてくれた秋のお客様、本当にありがとうございます。今年の秋はなんて実りが多かったことでしょう。園主の畑で採れたお芋たちが、ゲストのほこほこにつながっていたらとても幸せです。甘酸っぱいみかんもいろいろな方に召し上がっていただきました。もちろん世界一の卵かけご飯も、思い出してまた食べたくなることでしょう。ここはちっとも謙遜しませんよ。


12月は3週間程お休みに入りますが、まだ駆け込みでマイクロツーリズムがあるのでしょうか。先が読めないことに不安よりもワクワクが勝ると、ゲストとの出会いがより楽しみになりますね。晩秋の旅もまた渋くてよいものです。枯れていく秋に喜びを感じる渋い人たちに、届いたらいいなぁと願いますよ。

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