ついに猟師の仲間入り

禁猟期が明けてすぐの11月の頭、罠免許一年目のお父ちゃんが早速罠を仕掛けました。一週間はかかるだろうけど十日もあればと安易な目測は大幅に外れ、二十日が過ぎ、冷蔵庫の中はすっからかんになり、たんぱく質は豆だけにならんとしていました。あとは卵とツナ缶でどこまでもたせられるかとドキドキしているうちに、寒さのためか産卵率がガクンと落ち、背水の陣を覚悟しましたよ。もう諦めようかという頃知り合いから肉のお裾分けを頂きました。ありがたや。その次の日に別の猟師さんが獲った一頭が回ってきました。あれあれ一気にどっさりです。そしてその次の日、罠を仕掛けてちょうどひと月、苦節ひと月、忍耐のひと月で、罠にかかった仔鹿を発見したのです。

購買してはいけないというルールもないので、そんなサバイバルな展開にしなくともよかったのですが、自分を追い込むのが嫌いではないという勝手な理由で無駄にハラハラ体験になりました。だんだん食卓が寂しくなっていくのを見て子供たちは若干心配そうでしたが、だましだまし持ちこたえてくれましたよ。おかげで手にした鹿肉の、生々しいけれどありがたいことこの上なく、命をつないだ感がヒシヒシでした。

これまで何度か、捕獲され血抜きされた鹿を頂くことはあっても、自分の目の前で命尽きるのを見たのは初めてでした。血抜きされてはいても丸ごとの獣は十分命のやり取りを感じさせてくれましたが、捕獲した個体はまだ生きておりましたから。黒い瞳を見ると逃がしてやりたい気にもなります。でも、それは獲物なのです、紛れなく。と言いつつもやはりトドメを刺すときは目を背けてしまいました。お父ちゃんよろしく。子ジカ物語の親の気分を味わう日が来るとは思ってもいませんでした。

仔鹿なら可哀想で大人鹿なら可哀想でないという線引きはありません。むしろこれから畑を荒らしてしまう期間の長い仔鹿の方が仕留めなければならない存在かもしれません。害獣というのは気持ちいい呼び方ではないので、獲物と認識したほうが私はすっきりします。もちろん食糧にもならず困った獣も多々いるので、そいつらは獲物にはならず、天敵と呼び方を変えていますが。冬を無事に越したいのはどの生き物も同じで、今回はたまたまこちらがギリギリのチャンスを手にできました。

罠猟はニアミスや空振りも多く、根気のいる仕掛けです。毎日見回りをして成果なしが今の所普通で、成果アリも突然の大仕事です。スケジュールはききません。スローライフは時に大忙しという典型例ですね。それでも成功の時の手応えは何にも勝る大きな仕事です。さて次の獲物はいつか、今度は多少の余裕を持って待ちたいものですよ。

写真がどうしてもアップロードできませんでしたので、ひとまずこれで掲載します。

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